テキスト変数と先頭文字スタイル【Adobe Max 2020解説③】

2020年10月22日木曜日

Adobe Max 2020 InDesign テキスト変数 先頭文字スタイル

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上の略語表や索引で多いのが、そのページの最初に出てくる単語と最後に出てくる単語が柱になるデザインです。


もし手作業で作業していた場合、修正によって行が増減すると、柱もすべて修正しなければならなくなります。またページの始まりが奇数ページと偶数ページで入れ替わったりしても同様です。面倒な上にミスになる可能性が高くなりますね。

したがって、このような柱の設定は自動で処理します。


そこで用いるのが、「先頭文字スタイル」と「テキスト変数」の組み合わせです。

最近は正規表現スタイルが便利すぎて、ちょっと影が薄くなりつつある先頭文字スタイルですが、テキスト変数と組み合わせるとその威力を発揮します。(正規表現スタイルでは、テキスト変数と組み合わせることができません


設定の仕方

①先頭文字スタイルの設定

予め単語部分をゴシックにする文字スタイルを作成しておきます。

段落スタイルの『先頭文字スタイル』を設定します。

  • 先頭文字スタイルとは、任意の区切り文字を指定し、その前後の文章に文字スタイルを適用させる機能です。

ここでは「:(コロン)」を区切り文字としてスタイルを適用させます。



②テキスト変数の設定

①で適用させたゴシック部分を柱に参照させるために『テキスト変数』を設定します。

  • 書式 > テキスト変数 > 定義

予め用意されている変数がありますが、邪魔なのですべて消してしまいます。


次に「新規」から変数を2つ作成します。

(変数の名前は任意です。ここでは「略語:前」と「略語:後」にしています)

略語:前

種類:ランニングヘッド・柱(文字スタイル)
 ➡ 任意の文字スタイルを参照する
スタイル:略語ゴシック
 ➡ ①で先頭文字スタイルで適用させた文字スタイル
使用:ページの先頭

 ➡ ページにある一番先頭の文字スタイル適用部分を参照する

略語:後

種類:同上
スタイル:同上
使用:ページの最後

 ➡ ページにある一番最後の文字スタイル適用部分を参照する


③マスターページの設定

上記で設定したテキスト変数を、マスターページの柱部分に挿入します。

  • 書式 > テキスト変数 > 変数を挿入 ※または右クリックから変数を挿入


これで、柱は自動的にページ内の単語を参照してくれるようになります。


応用

見出しの一部分を省略した柱

下のような柱も応用次第で可能になります。

パターンが一定であれば、「( )」や「:」を区切りに先頭文字スタイルで文字スタイルを適用させて、一部分を抜き出して柱にすることができます。


体裁の一部分が異なる柱

テキスト変数内で一部分だけ体裁を変更させることはできません。
そこで先頭文字スタイルは数字や文字数を指定して文字スタイルを適用できることを利用し、変数と組み合わせて一部分だけ体裁が異なる柱にすることも可能です。

索引でのトラブル事例

柱とはちょっと話がズレますが、索引のよくあるトラブルを紹介します。
それは英数字から始まる単語のまとめ方を、初校後に変更されることです。

英数字から始まる単語のまとめ方は主に2パターンあります。
  • 索引の最初にまとめる
  • 日本語読みにして「あいうえお順」に入れ込む(例:APEC→えーぺっく)

これを渡された見本通りに作ったら、後から「そうじゃなかった」と言われてトラブルになる場合があります。
クライアントが出版社の場合には、編集者が索引作成に慣れていると思いますが、BtoBのカタログ等で先方担当者が印刷物の制作自体が初めてだったりすると、このようなトラブルが起こるケースがあります。
はじめて索引を制作する書籍やカタログは、制作する前にきちんとヒアリングや提案をして、このようなトラブルを未然に防げるといいですね。


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自己紹介

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組版歴20年以上のベテランオペレーターです。 InDesignをどう設定すれば効率と品質を向上できるか日々研究していますが、その成果として2016年に「第2回ジャグラコンテストInDesign」において、一次選考:1位、二次選考:1位という成績で総合優勝し、『InDesignマイスター』に輝きました。 翌年より同コンテストの専門委員を務めるほか、講演や記事執筆、Creative Cloud道場に出演するなどの活動しています。

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